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おもてなし研究講座「香道体験講座 〜月見香篇〜」レポート

2021年9月25日(土)に『香りでおもてなし!日本の三大芸道「香道」体験講座』を開催。

今年3月にはじめて開催した香道体験があっという間に席が埋まってしまい、キャンセル待ちの方もたくさんいらっしゃったりと、「またぜひやってほしい」というリクエストにお応えして、2回目となる香道体験が実現しました!

※前回も感染予防対策を徹底しておりましたが、参加人数を大幅に減らして二部制にするなど、より一層の感染予防対策を実施しました。参加者のみなさま、香舗伽羅のみなさま、ご協力ありがとうございました。

今回も前回同様に、「組香(くみこう)」という香りを聞き当てるゲーム性を持ち合わせた遊びを体験するにあたって、お香や組香についての説明からスタート。

ちなみに、「香りを聞く」というのは香道特有の表現で、ただ単に「香りを嗅ぐ」のではなく、「長い眠りから目覚め香りを放つ香木の声に耳を傾ける」という意味がこめられています。

前回は梅がテーマの組香でしたが、今回は中秋の名月のあとということで、『月見香』というお月さまをテーマにした組香を教えていただきました。

日本では、古来より秋の月を鑑賞する「お月見」の風習があり、月の見え方、時間帯、さまざまな月の情景に名前がつけられています。

この『月見香』は二種の香木を順番に聞き当てて、どんな順番かを当てるゲーム。その順番によって、どんな月の情景が浮かび上がるのかを楽しめるように趣向が凝らされています。

ルールを簡単に説明すると・・・

①2種類の香木を準備します。
②「月」と名付けた香木を4包準備し、そのうちの1包を試し聞きし、その「月」の香りの特徴をしっかりと記憶します。
③試し聞きをしない香木を「ウ」として、3包準備します。
④「月」と「ウ」の合計6包をシャッフルして、3包を取り除きます。
⑤残りの3包をひとつずつ順番に回して、香りを聞き当て、紙に答えを記します。
⑥最後に正解を発表し、その順番によってどんな月の情景があらわれたのかを楽しみます。

たとえば3つとも「月月月」と判断した人の答えは「十五夜」、3つとも「ウウウ」と判断した人の答えは「雨夜」、「月ウ月」と判断した人の答えは「水上月」とそれぞれ呼び、その香りの順番によって季節感を楽しむ醍醐味を味わいます。

ちなみに、「月ウ月」がなぜ「水上月」かというと・・・

月 ←空に浮かぶ月
ウ ←水面
月 ←水面に映る月

というふうに縦書きの文字を情景に見立てているからなんだとか。

そんな「月見香」の説明を聞いてると、こんな遊びを生み出す古来の日本人は本当に粋で奥ゆかしかったんだな〜と感動し、四季折々の些細な情景のちがいも楽しむ心の豊かさがあったんだなと感じました。




続いて、香道具の説明もしていただきました。

聞香につかう香木・炭団・灰・銀葉・香炉は、木・火・土・金・水をあらわしていて、掌に乗った聞香炉はまさに 陰陽五行の小宇宙を表しているんだとか・・・!
香道具ひとつひとつに意味がこめられていて、知れば知るほど香道の奥深さが伝わってきます。



そして、いよいよ『月見香』のスタートです!



順番に聞香炉を回していき、静かにその香りを聞いていきます。

事前に試し聞きをした「月」の香りなのか・・・、はたしてもう一方の「ウ」の香りなのか・・・。嗅覚を研ぎ澄ませてその微妙な香りのちがいを聞き当て、それぞれが紙に答えを記します。


運営スタッフも参加させていただきましたが、どっちがどっちだかほとんどわからないくらいに、本当に微かな香りのちがいでした。
この絶妙なちがいを聞き当てるところが「組香」の面白さなんでしょうね。

一人ひとりの回答を集めて、答え合わせをしていきます。

記録紙には、組香名・香銘・回答・成績・日付などが書き込まれ、最高得点を取った人にこの記録紙は贈られました。

組香の本質は香りを聞き、日頃の雑踏の外に身を置いて、静寂の中でその趣向を味わうことにあり、答えの正否や優劣を競うものではないとされるところも香道のいいところですね。


組香がおわったあとには、さまざまな種類の『お香』を見本に、それぞれの活用方法などをわかりやすく教えていただきました。

組香をとおして香道の奥深さやおもしろさを体感し、お香の楽しみ方を教えていただいた今回のワークショップ。
お香を玄関やお部屋で焚いたり、お手紙や贈り物にお香を忍ばせたり、県外からのお客さまには香道体験をしてもらったりと、さまざまなシーンでおもてなしに活用してもらえたら嬉しいです。

組香は季節に応じてさまざまなテーマで遊べるので、機会があれば今後も続けていければと思いますので、どうぞお楽しみに。

香舗伽羅のみなさま、参加者のみなさま、どうもありがとうございました!

なお、香舗伽羅では10月22日(金)〜25日(月)に「名香展」を開催するそうです。
「由緒ある香」「香気の優れた香」として、その香木に天皇が銘をつけた勅銘香など、室町から江戸時代に権力者たちがこぞって蒐集し、いにしえより大切に保管されてきた「名香」の数々を展示し、その魅力を堪能できる内容になるとのこと。

ご興味のある方はぜひ足をお運びになってみてください。