8月26日(土)に『日本三名菓の「落雁」!伝統のおもてなし和菓子づくり体験講座』を開催しました。
金沢城下町にて寛永2年の創業以来390余年、日本三名菓の随一「長生殿」をはじめとした伝統ある和菓子を作り続ける老舗和菓子メーカーの森八さんの本店にて、森八の若女将・中宮さまに講師をしていただきました。
落雁づくりの前に、その歴史や落雁が作られる過程を学んでいただこうと、今回だけ特別に店内に併設された金沢菓子木型美術館をご案内していただきました!
※通常の落雁づくり教室では自由観覧となっております。ご了承ください。
若女将の中宮さんは、なんと森八の菓子職人でもあるとのことで、その説明もたいへんわかりやすく、落雁づくりというものがいかに伝統的でその技術の奥が深いのかがひしひしと伝わってきました。
参加者の方からの質問にもハキハキと丁寧に答えてくださり、みなさん熱心に耳を傾けてるのが印象的でした。
茶の湯の文化が盛んだったここ石川県。客人をもてなすお茶菓子として親しまれていたのが落雁でした。
お城で開かれるお茶会には、菓子職人がお城まで出向して、できたての落雁を振る舞っていたこともあるんだとか。
また、加賀藩は芸術や文化の振興に力を入れたこともあり、菓子づくりの技術が独自に発達していったことも、今日まで落雁をはじめとした和菓子が郷土に根づいてる由縁でもあるそうです。
そんな落雁づくりに欠かせないもののひとつ、木型。
ここ金沢菓子木型美術館には、森八さん創業以来のたくさんの木型がずらりと一堂に並んでいます(圧巻!!)。
その一つひとつが実に細かな細工になっており、当時の職人さんの技術力の高さ、そしてそれを振興した加賀藩の本気度が感じられました。
現在はこの木型を彫る職人さんが減ってしまったようで、近年では3Dプリンターで木型を試作したこともあるそうなのですが、それでは落雁づくりが上手くいかなかったそうです。
桜の木で、なおかつその木の目に逆らわずに彫り上げた職人さんの手によるものでないと、繊細な模様が描かれた落雁づくりはむずかしいといいます。
この先もこの落雁づくりの伝統や技術が受け継がれていくことを願うばかりです。
ちなみに、森八さんの代表和菓子「長生殿」は日本三名菓のひとつですが、この日本三名菓というのは江戸時代に決められたそうです(!)。
全国から江戸幕府へさまざまなお菓子が献上されるなかで、「長生殿」のお菓子としての美味しさはもちろん、こだわりの原料や職人の高い技術力が、幕府の方や大奥の方にたいへん人気があったのだとか。
落雁をつくるベテランの職人の映像を見ながら、その原材料のこだわりや、作り方の説明もしていただきました。
長生殿は、和三盆糖・もち米・水飴だけで作られているのですが(紅色の落雁は紅花の天然色素も使用)、素材がシンプルなだけに、熟練の職人技術と木型が大切なんだと勉強になりました。
美味しいことはもちろん、美しいものでおもてなししたいという、先人の熱い想いが伝わってきました。
まだまだ紹介しきれないくらいですが、木型美術館のレポートはこのへんで。
森八本店の2階で毎日9:00〜17:00まで開館してますので、ご興味のある方、観光で来られる方はぜひ!!
そして、いよいよ落雁手作り体験スペースへ。
カフェスペースも併設されていて、とても趣のある優雅な空間でした。
まずは、落雁づくりや道具の説明をお聞きし、実際に中宮さんにお手本を見せていただきました。
若女将でもある中宮さん。さすがは職人ということもあり、手際も良く美しい落雁があっという間にできました!
つづいて、参加者のみなさんのチャレンジです。
意外とカンタンそうに思いましたが、材料を混ぜ合わすのに微妙な力加減や感覚が必要だったり、型に詰めるのにもちょっとしたコツが必要だったり、実際に体験してみると、落雁という伝統和菓子の手間暇が実感できます。
一見シンプルに見えるけれど、こだわりの材料と職人たちの高い技術、たくさんの手間暇をかけて作られている落雁は、ただただ絢爛豪華なお菓子よりも「おもてなしの心」がぎゅっと濃縮されたお菓子なのかもしれませんね。
完成したばかりの落雁は、通常のものよりもさらに「フワッ」とした口溶けで、思わずみんなでビックリ!!和三盆の香りや味わいもすごく濃厚で、いままでの落雁の印象がガラリと変わりました。
なるほど、江戸時代のお城でのお茶会では、このような出来立ての落雁を味わっていたのか・・・。
そう考えると、これは最高のおもてなしのお菓子なのかもしれません。
お抹茶やお持ち帰り用の小箱までご用意していただき、木型美術館鑑賞とあわせて、とても楽しい「落雁づくり」を体験できました。
落雁をちょっとしたお土産やおもてなしに贈ることのできる、素敵な大人に一歩近づけたような気がします(笑)。
森八さん、中宮さん、ご参加のみなさま、本日はどうもありがとうございました!